水分神事

水分(みくまり)神事は、秩父神社でおこなわれる御田植神事に先立ち、龍神池の御神水を授与する神事。

秩父神社から神官、伶人、神部(農業の代表者)たちからなる御神幸行列が当社を訪れ、「水乞い」を行う。当社の宮司から秩父神社に、当社の龍神の御分霊を『水幣(みずぬさ)』(八大龍王神の御神徳)として授ける。秩父神社は、この水幣を奉斎して秩父神社に持ち帰る。

秩父神社では授与された水幣を、田の水口をかたどる「藁の龍神」の口に奉る。すると、境内の敷石に龍神の御神霊が行き渡り、そこは一面の水田と見立てられ、神部らによって御田植神事が執り行われる。

この「藁の龍神」は、毎年12月3日に斎行される秩父神社例大祭(秩父夜祭)の際、大真榊を立てる榊樽に巻き付けられ、神輿・笠鉾・屋台の行列とともにお旅所へ供奉される。武甲山に鎮まる山の神が、春に里へ下って人々に豊かな稔りをもたらしたあと、冬のはじめに再び山に帰ることを象徴するもので、古代日本の祭祀形態を今日に伝えるものである。

「水分」(みくまり)という言葉は古事記の中に登場する。伊邪那美命の御子神である速秋津日子神(はやあきづひこのかみ)とその妹の速秋津比売神(はやあきづひめのかみ)から生まれた「天之水分神」(あめのみくまりのかみ)と「国之水分神」(くにのみくまりのかみ)の二神はいずれも水の恵みを司る神といわれている。古事記の頃からすでに「水分」という概念が非常に大切なものであったことがうかがえる。

毎年4月4日の午後に執りおこなわれる。